日本顎咬合学会 2019年度 支部学術大会 ~九州・沖縄支部~

令和1年12月8日(日)
場所:福岡
歯科医師:松林

 歯がなくなったから入れ歯を入れる・虫歯になったから削って材料をつめる、神経が腐ったから神経を取る。こういった治療を行って「これでこの歯は治りましたよ。」と言われますが、果たして本当に治ったのでしょうか。なぜ歯がなくなったのか、なぜ虫歯になったのか、なぜ神経を取らなければいけなかったのかという根本的な原因を探り、そこを改善しなければ同じことを繰り返してしまい、本当の意味で治ったとは言えないと思います。
 私が今回の勉強会で学んだことは“力のコントロール”がいかに大切かということです。口腔内でみられるトラブルの原因は大きく分けて4つあると言われており、①虫歯 ②歯周病 ③力 ④医原性です。①虫歯や②歯周病は歯が痛い、歯が黒い、
冷たいものや温かいものがしみる、歯が動いているなどの症状が現れるため気づくことがあります。しかし、歯に力がかかっているということは患者さん自身もなかなか気づかないのですが、実際口腔内のトラブルは③力が原因のことがとても多いのです。また、力は虫歯や歯周病の原因にすらなりうるのです。どういうことかというと、ある一定の歯に強い力または繰り返しの力がかかると歯に細かい亀裂(クラック)が入ります。すると、その隙間から細菌が入り虫歯になります。亀裂が神経まで達すると神経を取らなければいけなかったり、ひどい場合には歯が割れて抜歯になることもあります。また、繰り返しの力がかかることで骨を溶かしてしまったり、歯周病を進行させることもあります。夜寝ている間や何かに集中している時など無意識に行っているくいしばり・歯ぎしりのことをブラキシズムといいます。通常咬む力は30~60kg程度で自分の体重くらいと言われていますが、ブラキシズムは男性で200~300kg、女性で100~200kgの力が働きます。それを予防するには
マウスピースが必要です。マウスピースは緩衝材となり、歯を守ってくれます。
 このように力が口腔内に及ぼす影響はとても大きいため“力のコントロール”がトラブルを回避するためにはとても重要なのです。それに、口腔内には力がかかっていると判断するポイントがたくさんあります。そのポイントをしっかりと患者さんに伝えて日々の診療に活かしていきたいと思います。